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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第32回:碧のプロヴァンス

一般的にコートダジュールに組み込まれる町はどんなに小さくても、有名な観光名所となっています。エズ村や、ヴィルフランシュ・シュル・メールなどがいい例です。しかし、こういった感覚は、カンヌ以西で一気になくなってしまいます。

Theoule sur Mer, Le Trayas, Antheor Cap Roux ,Agay , Le Dramont, Boulouris sur Merなどは、非常に知名度が低い村でしょう。

しかしながら、有名でなくとも地中海沿いにある村々に違いはなく、非常に魅力的な町でもあります。さらに西へ行くと、トゥーロンという大きな港町があり、その次の大都市はもうマルセイユになります。

よく話題に上がるテーマでもありますが、結局どこまでがコートダジュールで、どこからがプロヴァンスなのか・・・

このテーマはとても深いので、ここで簡単に答えを出すことはやめておきますが、主にヴァール県以西からマルセイユの間を今回はテーマにコラムを書くことにします。

(カンヌ西のエステレル山塊の風景)


(カシ近郊のブドウ畑)

ちなみに、マルセイユの近郊には比較的訪れやすい村々がいくつか存在します。Cassis(カシ)、La Ciotat(ラ・シオタ)、Bandol(バンドル)、Sanary sur Mer(サナリー・シュール・メール)などが挙げられます。

どの町も小さな港町ですが、外れなく美しい町と言えます。特に前の3つはそれなりに知名度もあります。カシはワインとカランクで有名。ラ・シオタは映画発祥の地。バンドルもワインで有名です。

まずは電車でマルセイユからオーバーニュを経てカシへ向かいました。駅を降りると「カシ3km」の標識がでています。駅は海から少し離れているために歩かねばならないのです。この散歩もすばらしいものでした。

村まで歩くと40分くらいかかるのですが、しばらく歩いていると、両脇にワイン畑が広がります。

「カシの白ワイン」はプロヴァンスでも有名で、漁港で水揚げされた魚介類との相性がバツグンによいと言われます。

駅から村へ向かう直線道路以外には、近代化された感じは受けず、家も少なければ、レストランやカフェもない。ただただ、緑のブドウ畑が広がる光景は、すばらしいものでした。

カシにつくと一目散に向かったのが、カランク観光の遊覧船乗り場でした。カランクとは、マルセイユ東の岩に囲まれた入り江のことですが、ここを周遊するツアーがあるので、これに参加することにしました。

1時間半かけて8つのカランクをまわるコースでは、自然の力を思い知らされたという感じです。古代の地殻変動によって作られた、岩の入り江には、ただただ言葉を失ってしまいます。

高くそびえる白い岩の上には、緑の松や草木が生い茂り、下を見れば、マリンブルーの地中海が広がっている。非常に透明度の高い海は、下まで透き通っており、岩の上からジャンプする人たちもいたくらいでした。

(カランククルーズでの風景)


(バンドルの海岸通り)

別の日には、バンドルとサナリーを訪れました。小さな港町という点では同じなのですが、問題はその港周辺の様子です。

カシやラ・シオタは、非常に地元住民が活発で、生き生きした印象を受けました。「マルセイユの旧港」とまでは言えないにしろ、どちらかというとそれに近い雰囲気です。

これに比べ、バンドルとサナリーは、やたら洗練された海岸通りの印象を受けます。村は確かに小さく、地元の人たちがひっそりと生活している村という感じなのですが、海岸通りだけは、まるでコートダジュールのどこかの村に迷い込んだかのように洗練されています。

湾岸通りにはカフェ、レストランの他、ブティック、土産物屋、さらにはカジノまであるのです!

一直線に伸びる道路の左側に軒を連ねるお店、右側に地中海、脇にはヤシの木が立ち並ぶという光景は、まるで小さなカンヌか、ジュアン・レ・パンのようです。 一歩中へ入れば、そこは確かにプロヴァンスなのですが、この湾岸通りだけは、コートダジュールの雰囲気を持ってきたようです。

これらの村々には、有名な美術館や、歴史的建造物があるわけではありません。しかし、ここでの滞在で、私はとてもゆっくりとした時間を過ごす事ができました。

確かにプロヴァンスの港町、しかし、カランクの海の色は”青”ではなく”碧”のカシとラ・シオタ。 海岸通りを散歩していると、コートダジュールのリッチな雰囲気と、プロヴァンスののんびりとした雰囲気の両方を味わう事ができるバンドルとサナリー。特別なことは何一つない。しかし、これらの村は”碧(Azur)”を持つプロヴァンスなのです。

(サナリー・シュル・メール)


(サントロペの旧港沿い)

もうひとつ、ヴァール県の沿岸部も忘れることはできません。おそらく最も有名なのは、ブリジット・バルドーが有名にしたスノッブな町サン・トロペや、ヴァール県の県庁所在地トゥーロンなどの名前が挙がるところでしょう。

しかし、私はあえて、このヴァール沿岸という言葉をイエールの周辺の町に使いたいのです。サン・トロペはスノッブ過ぎる、トゥーロンは都市の規模が大きすぎる。ヴァールという言葉から私が連想するのは、何か田舎っぽく、小さく、観光地化されておらず、素朴な感じのするところを連想するのです。

イエールを訪ねた際、町は私の予想をはるかに上回る魅力的な町で、感激したものです。旧市街には、中世の門の跡などが随所に残っており、オレンジ色やオークル色の可愛らしい家々が並んでいます。

旧市街の道はアスファルトの道ばかりではなく、なかなか趣のある造りになっており、商店がでているストリートは、非常に活気に満ちています。お店も多く、非常に生活しやすそうな町だという印象を受けました。

教会前の広場から見る遠景も文句なしの絶景です。また海に突き出たジアン半島を散策しました。美しい公園から見るイエールの町と地中海は美しい、いや、この景色だけではなく、このジアン半島そのものがかなりすばらしいものなのです。

車道はきちんと整備されていますが、周辺には自然が残っており、茂みの向こう側にオリーブの木が乱立していたり、ミモザの黄色が美しく青いそらに映えていたりするのです。塩田地帯にいるフラミンゴなどはカマルグを思い出す景色でした。

(イエールの旧市街)


(ボルム・レ・ミモザの村)

また、近くには美しい町もあります。その中でも秀逸だと思うのがボルム・レ・ミモザ村です。2月から3月になれば、ミモザの季節真っ只中となるでしょう。

村の名前にミモザが入っているだけあり、村の周辺にはミモザが咲き乱れています。そして、この村が非常によいのです。小さな村ですが、小さな小道、曲がり角、どこから見ても絵になる村で、村中をくまなく歩き回ったものです。

実はこれ以外にもヴァール県では行きたかったところが山ほどあるのですが、この県は交通機関のアクセスがやはり他県と比べて悪い。

そのためやはり訪れにくい箇所が多いのも事実です。しかし、そのためでしょうか、予想を遥かに超えたすばらしい村などに出くわすことができるのもヴァールの魅力なのです。

その中で比較的アクセスが容易なのがヴァール県の沿岸部です。カシやバンドルのあたりは、現地では、コート・ダジュールに対抗してか、コート・ブルーと呼ばれています。しかし、やはり地中海の海を見ると、単にブルーとは呼びたくないのが私の個人的な意見。よって私は、この一帯を「Provence d'Azur(碧のプロヴァンス)」と呼んでいます。




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