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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第35回:セーヌ左岸の小粋な散策

先日、半年ぶりにパリへ行って参りました。昔はあまり好きではなかったんですが、行けば行くほど、魅力的な街だと行くたびに感じます。さて、またまた内容の濃い日々でしたが、今回は左岸をじっくりとご紹介します。

右岸はお金を使うところ、左岸は頭を使うところの言葉があるように、右岸は商業地区であり、デパートやショッピング街が多く、左岸は文化地区で大学が集まっている地区と言われます。もちろん、それが全てというわけではありませんが、やはり右岸と左岸は雰囲気が違います。

一日かけて、じっくりとセーヌ左岸を楽しむ散策をしてみましょう。このセーヌ左岸はユネスコの世界遺産に登録されていますが、左岸と右岸を比べると見どころという点では、圧倒的に右岸に軍配があがります。

ルーブル美術館、凱旋門、シャンゼリゼ通り、オペラ座あたりが右岸の代表でしょうか?これに対抗できるのは、エッフェル塔とオルセー美術館くらいかもしれません。しかし、町並みとその地区(カルティエ)をじっくりと見ると、この左岸は左岸で面白いのです。


(セーヴル通りの町並み)



今回の起点となったセーブルバビロンの駅から出発しましょう。ここの交差点はセーヴル通りとラスパイユ大通りが重なる交差点、ラスパイユ大通りは最近、日本の雑誌でもたくさん特集されるようになりました。

日曜日には結構活気のある有機栽培商品の朝市が立ちます。野菜、チーズ、はちみつやジャム、お肉やお惣菜、様々な商品が売られていますが、こういった市場で売られているフィンガー・フードって何故美味しそうに見えてしまうのでしょう。

ただ、ジャガイモを千切りにしたものをお好み焼きのように焼いただけのお菓子があったのですが、我慢できずに買ってしまいました・・・

(ラスパイユ大通りの朝市)

さて、朝市を楽しんだら、散策へ行きましょう。目指すはサン・シュルピス教会。ダヴィンチコードが・・・うんぬん、、、いや、そういったものも私は好きですが、今回は一つ一つの建物もいいのですが、街そのものの雰囲気を楽しみましょう。

セーヴル通りをレンヌ大通りのほうへ歩いていくと、周りの建物が結構立派なのです。なんというか、それが有名な建物というわけではないのですが、これぞパリ!と言わせるような雰囲気のある建物なんです。レンヌ通りを横切るとサン・シュルピス教会の大きな塔が目に入ります。

中にはドラクロワの天使と戦うヤコブ、聖ミカエルの絵画があることが有名でしょうか・・・当時の欧州子午線(これをダヴィンチ・コードではローズラインと呼んでいますが)が通っていて、それは実際にみることができます。日曜日に合わせていくと音色が素晴らしいというパイプ・オルガンの演奏を聴くこともできます。


(サン・シュルピス教会)


(パンテオン)

今回の起点さらにここから南のほうに下りていくと、フランス元老院の建物がある広大なリュクサンブール公園。午前のランニングをしている人たちがいたりして、なんかホッとする公園です。

どんどん東へ東へ進んでいきますが、リュクサンブール公園は東側から出ると、大きなドーム型天井を持つ、パンテオンが見えます。

実は今回のパリで一番のお目当てがここ。内部もしっかりと見学をしてきました。右岸で最も高いところにそびえるのが、モンマルトルの丘の上に建つサクレ・クールであることは、よく知られていますが、では左岸の最も高いところは??それがこのパンテオンが建てられているところで、ジュヌヴィエーヴの丘と呼ばれているところです。

6世紀のメロヴィング朝のクロヴィスと妻クロティルド墓所として大聖堂が建てられた場所であり、パリを蛮族の侵入から守ったと言われるパリの守護聖女ジュヌヴィエーヴを埋葬した場所という歴史的に重要な場所なのです。

現在の建物は18世紀に重病を克服したルイ15世が聖ジュヌヴィエーヴへの祈願によってと回復したと考えたため、この聖女にささげる建造物を捧げたいと願ったために建てられました。

現在では、聖人廟、といってもキリスト教的な聖人だけではなくヴォルテールやジャン・ジャック・ルソー、ヴィクトール・ユゴーなど、国民にとって偉大な人物のお墓となっています。

ここは個人的に、今、聖女ジュヌヴィエーヴに対する興味があったこともありますが、中にはこのクロヴィスや聖王ルイ、またジャンヌ・ダルクの一生を称えた立派な壁画で飾られています。しっかりした見ごたえのある建物なのですが、日本ではあまり知られていませんね・・・

この近くにサン・テティエンヌ・デュ・モン教会があります。ちょっと不思議なファサードをした印象的な教会。やはり聖ジュヌヴィエーヴが崇拝されている地区の教会なのですが、教会の名前通り、サン・テティエンヌ、つまり聖ステパノを祭った教会です。

聖ステパノは石で殴られて、キリスト教徒で初の殉教者となった人なのですが、ファサードのタンパンにはこのシーンが彫刻されています。中に入ると、また珍しい作りが見られます。

ジュベと呼ばれる身廊と内陣の間にある高廊が残っており、美しい説教壇やステンドグラスも残っているので、近くまで行ったらちょっと中を覗いてみるのも面白いでしょう。

(サン・テティエンヌ・デュ・モン教会)




この界隈は通常の観光ルートで行くことはほとんどないので、ワクワクしながら歩きました。サン・テティエンヌ・デュ・モン教会の裏から、ムフタール通りへ入っていきます。

映画「アメリ」でも賑やかな通りがでてきます。ずっと頭に残っていた通りなのですが、今回初めて訪ねました。ここもカフェやチーズ屋さんなど、パリの生活が見えるような通りで、お勧めです。



そして、この近くにモンスの市場があり、さらに近くにアレーヌ・ド・リュテスがあります。実はこれ、パリに残るローマ遺跡の一つで、直訳するとリュテティアの古代闘技場となります。

リュテティアとは、パリがパリと呼ばれる前に呼ばれていたケルト人たちが名付けた町の名、つまり実質的には「パリ闘技場」なわけです。

今では、当時の繁栄は見る影もありませんが、奴隷や獣が入ってきたであろう道や観客席の名残が見られます。パリにローマ遺跡が、しかも「パリ闘技場」があるなんて、知らない人も多いのではないでしょうか?

(リュテティアの闘技場跡)

さて、ちょっと疲れましたから、地下鉄に乗って移動しましょう。地下鉄を乗り継いで、クリュニー・ラ・ソルボンヌ駅へ。

クリュニーの中世美術館の目の前にでます。実はここにもローマ遺跡が残っているのです。ここからセーヌ河の方へ出ていきたいのですが、ちょっと寄り道して、サン・セヴラン教会にふらりと立ち寄ってみるのがお勧め。

典型的なゴシック様式の教会で、見た目も美しいです。なかには16世紀ごろの美しいステンドグラスも多く、とてもきれいな教会です。

(サン・セヴラン教会付近の界隈)





このサン・セヴラン教会界隈の雰囲気もなかなかのもの。多国籍料理のお店やいかにも地元で長年やっているようなレストランなど飲食店街となっていて、賑やかな界隈で歩いていても、ふと足を止めたくなるような場所です。

こちらも何か有名なものがあるわけではありませんが、一度はランチで使ってみたくなるような、大衆レストランというかビストロ的な雰囲気のお店が多くあります。お洒落なカフェも発見したので、個人できたらちょっとこの辺でランチをする日を一日くらい作りたいなという気持ちになりました。

ここからセーヌ河畔にでます。左岸から見るノートルダムの正面もなかなかのもの。スタート地点から見るとまだ少し東側にいますから、このあたりからボチボチとサン・ジェルマン地区に戻っていきます。

近くには、Rue du chat qui peche、つまりは「釣り猫通り」という名前の道があり、パリで最も距離が短い細い道があります。サン・ミッシェル大通りのセーヌ河沿いには立派な大天使ミカエルの噴水があり、左岸の有名な待ち合わせスポットとなっています。

(左岸から見るノートルダム大聖堂)

ここの脇から伸びるサン・タンドレ・デ・ザール通りをブラブラと歩きながら、サン・ジェルマン地区で活気のあるビュッシ通りへと向かいます。しかし、途中で雰囲気の良いパッサージュを発見。クール・デュ・コメルスという名前がついたパッサージュで、入り口から覗くと吸い込まれるような雰囲気です。

石畳なのですが、最近に作られたようなものではなく、石もデコボコ、気をつけないと足をひっかけて転んでしまいそうな古めかしい道に雰囲気の良いレストランやバーが並び、とても雰囲気の良い通りです。ぜひ、ぶらり散歩で立ち寄っていただきたい道の一つです。

そしてビュッシ通りへ。レストランやカフェ、お花屋さん、スーパーなどがずらりと並ぶサン・ジェルマン地区で人気のある通りです。ここをサン・ジェルマン大通りまで歩いて行くと、もうサン・ジェルマン・デ・プレ教会まですぐです。

内部が改装され、ハデハデしい雰囲気になってしまったのが残念な教会ではありますが、周歩廊右側には、教会でもかなり古い部分にあたる9世紀のシャペルが残っており、ロマネスク様式の円形アーチと柱頭彫刻、そして微笑みの聖母マリア像が残っており、この時代の教会を見てみたいなとう気持ちになります。


(クール・デュ・コメルス)

このあたりで、散策終了。ちかくのカフェ・レ・ドゥー・ギャルソンか、カフェ・ド・フロールなど、パリを代表する老舗カフェでゆっくりと落ち着いてお茶をするのも、パリらしい時間の過ごし方です。




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