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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第36回:河畔沿いに佇む美しい村 part 1 la Dordogne

2013年の初コラムですが、思いつきのタイトルで書きあげてみます。テーマは「河畔の美しい村」。フランスには国を代表する大きな大河がたくさん流れています。川は当時から交通、流通にとって大事な「道」だったわけで、河畔沿いに大きな町ができるのは、よく考えれば当たり前のことです。

例えばセーヌ河沿いにはパリがあり、ローヌ河沿いにはリヨンがあり、ガロンヌ川沿いには、トゥールーズやボルドーがあり、ライン川沿いにはストラスブールがあります。いずれもフランスを代表する大都市と言ってもよいでしょう。マルセイユには河がありませんが、やはり空港ができあがるまでのフランスの玄関口となった海に面しており、やはり商業、交通の重要拠点となったことは言うまでもありません。

これらの大きな町をとりあげても面白いのですが、今回は見ていて「感じがよい」と感じる河畔沿いの小さな村に焦点を当ててみましょう。

フランスに大河が多く流れていることはすでに述べましたが、大河があるということは、そこに注ぎ込む支流もたくさんあります。そんな支流沿いにもかわいらしい村々がたくさん点在しています。

また、このような村は川を挟んで対岸から眺めてみることをお勧めします。河畔に映る家並み、水面に光るライトアップされた風景などは、その美しさを倍増させてくれるでしょう。

「河畔の美しい村」といえば、フランスを訪ねたことのある方であれば、「あの村!綺麗だった!!」という記憶がある方も多くいらっしゃるでしょう。私もこの時点で多くの町が思い浮かびます。


(モレ・シュル・ロワンの村)


(オンフルール)

ノルマンディーなら、やはりオンフルールでしょうか?レ・ザンドリーも捨てがたいかもしれません。ブルゴーニュは難しいですね。ソミュール・アン・オーソワなどが思い浮かびます。ワインで有名なマコン村もなかなか感じがよいんです。

ローヌは難しいですね。どうしてもアヴィニョンやアルルという町が思い浮かびます。闇夜に浮かぶアルルのローヌ河畔はゴッホの絵を連想させます。タン・レルミタージュやトゥルニュなんかも夜に歩いてみると驚くほど雰囲気が変わってよいです。

ミディ・ピレネーは、そういった意味では美しい村の宝庫でしょう。アルズー渓谷に建つロカマドゥール、ロット川沿いのサン・シル・ラポピーなどはこの地を代表する美しい村です。パリから手軽に行ける河畔の町としては、モレ・シュル・ロワンが有名です。

しかし、今回は2つの地方に絞ってご紹介することにします。1つはガロンヌ川の支流、ドルドーニュ川、もう一つはロワール河とその支流です。 まずは第一弾としてドルドーニュ河畔の村々を紹介しましょう。

ドルドーニュ川はガロンヌの支流という立場にも関わらず比較的名前が知られている風に思います。それは一つには流域に美しい村々が点在していること。そしてもう一つがサン・テミリオンの世界に名だたるワインを生み出す土地を育んでいることが挙げられるかと思います。

この河はオーヴェルニュ地方のピュイ・ド・サンスィから流れ出し、リムーザン地方を通りボルドーの北でガロンヌ川に注ぎ込みます。

この流域の村巡りというと、町そのものも見どころがあるサルラの町を拠点にすることが多くなるかと思いますが、この回りにたくさんの美しい村が点在しています。

今回は河畔の美しい村、そのテーマに最もマッチするのがラ・ロック・ガジャックでしょう。村の中もまずまずですが、川沿いに立ち並ぶ家並みの美しさは界隈随一と言えるでしょう。


(ベイナックの高台から望むドルドーニュ川)


(ラ・ロック・ガジャックの村)

調度、川沿いに家々が建ち並び、全体でとても美しい統一された光景を作りだしています。これを最も楽しめるのがガバールと呼ばれるガロンヌ川のミニ・クルーズ船。

当時、英仏戦争時には、国境線ともなった川ですので、要塞化された町や城も随所にみることができますが、それよりもやはり川からみるラ・ロック・ガジャックの家並みの美しさが印象に残ります。

村の後ろには大きな岩山がそびえ、落石なんかが起きたら一大事だ!なんて思うのですが、実際になんどか落石事故は起きているよう・・・

また、この村が美しく見える一つの要因なのでしょうが、川からすぐのところに家々が立ち並んでいるので、川との距離がとても近いことが挙げられます。そのため、川と村とが一体となった美しい風景を作り上げているのでしょう。

しかし、これも一長一短。ドルドーニュ川が氾濫することもあり、近年は怒っていませんが、家の一階部分まで川の水位が上がったという記録も残っているようです。そのため、当時は一階部分を倉庫として利用し、住居は2階として生活をしていたようです。

この村のほど近くにはベイナックという村があります。こちらもフランスの美しい村に登録されている岩山の上にたつ美しい村。

前述した英仏戦争下でも利用された古城がそびえる要塞化された村です。このお城は今でも比較的しっかりと残っており、また村内は雰囲気のある石畳が続き、お城を中心に雰囲気のある家々が坂にそって立ち並んでいます。

村内の雰囲気は抜群に良いと言えるでしょう。実際に中世を舞台にした映画のロケにも利用され、近年ではミラ・ジョヴォヴィッチが主演した映画「ジャンヌ・ダルク」の撮影のロケ地として使われた村です。

村を下へ降りてくるとすぐそばをドルドーニュ川が流れていることに気がつきますが、やはり高台からの景色がすばらしい。


(ベイナックの村)

うねりながら進むドルドーニュ川を付近一帯を見渡せる展望台があります。今でこそ美しい風景を楽しめる場所ですが、当時はここから対岸にある敵軍の動きを監視していたのであろうという気分になります。


(ドンムから眺めるドルドーニュ川)

もう一つ、ここはドルドーニュ川の風景を見るには絶景の場所なのですが、いかんせん完全に観光地化してしまっているのが、悩みの種。ドンムの村です。

ドルドーニュ川を見下ろす高台にたつ村で、村の作りは悪くないのですが、城門をくぐって中に入ると、いたるところに土産物屋と名産物店(主にフォワグラ)がずらりと並び興ざめ・・・

ただし、この展望台から眺めるドルドーニュ川の景色はなんとも言えない美しさがあります。お勧めはこの展望台から村の外周にそっての散歩。見える景色はそれほど変わりませんが、村の中に入らないので、素朴な村の雰囲気を感じ、右手にドルドーニュ川沿いに広がる田園風景を見ながらの簡単なお散歩はなかなかお勧めです。

そんなゆっくりした流れのドルドーニュ川は、西へ西へと流れベルジュラック、リブルヌ、つまりはサン・テミリオンの大地を形成しながら、ボルドーの北でガロンヌ川へ注ぎ込みます。この一帯がボルドー・ワインで言うところの「右岸地区」というやつで、粘土質の大地で左岸と比べメルロー比率の高い黒ブドウが植えられているところ。いくつも産地はありますが、村とブドウ畑が形成する光景の美しさで世界遺産に登録されたサン・テミリオンはやはり群を抜きます。

町と言うより、村という表現のほうがしっくりくるサン・テミリオン。ここからドルドーニュは見えないのですが、村を取り囲むブドウ畑の美しさは特筆すべきでしょう。

いくつものシャトーがサン・テミリオンの看板を掲げてブドウ栽培を行っておりますが、伝統的なところですと土地にある石灰岩質の岩をくりぬいた自然のカーヴ(醸造所)を持っており、そこで後に大金で取引されるワインが眠っています。

ここの光景を見ると、やはり日本では土地と気候だけではなく、もっと大きな部分で太刀打ちできない・・・と感じます。

ちなみに、意外と知られていませんが、サン・テミリオンとは人の名前。8世紀ごろに修行僧、聖エミリオンが、ここに洞窟を掘り生活しだしたのが、この町の始まりといわれています。


(サン・テミリオンのブドウ畑)

岩を掘って作ったモノリス教会に彼の隠遁の跡が残っていますが、教会そのものは、9世紀ごろに巨大な自然の一枚岩を切り出した中に彫って作られました。聖エミリオンの死後に弟子たちが巨大な岩をくりぬいて作ったといわれています。内部には上にある楼塔を支えるために、大きな柱がありなかなか見ごたえがありますが、一般入場は禁止されていますので、観光案内所で行われている見学ツアーに乗っかって見学することになります。

美しい村が多く残るドルドーニュ河畔。村の美しさも流石のものですが、川と一体化した村は一層際立って美しく見えます。

では、第二段、ロワール河とその支流の村々へと続きます。




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