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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第37回:河畔沿いに佇む美しい村 part 2 la Loire

では、第二段としてロワール河とその支流です。皆様はお気づきになったでしょうか?最初にあげたフランスの大河、セーヌにはパリが、ローヌにはリヨンが、ガロンヌにはトゥールーズやボルドーが、そしてラインにはストラスブールがあるのに、フランスで最も大きく、最も長いロワール河沿いに大都市が存在していないということに。

きっと皆さまがロワールの都市と聞いて想像するのがトゥールでしょう。しかし、トゥールは今挙げた大都市に比べるとまだまだ中規模都市の域を出ません。そして、トゥール以上の町もこの地方には存在しません。だいぶ河口に近くなったところにナントがありますが、それでもやはり大都市とは呼べるほどではありません。

この地は、美しい村がとてもたくさんあります。しかし、まだまだ取り上げられることは稀です。美しい村といえば、観光地化された美しい村(ブーブロン・アン・ノージュ、ゴルド、レ・ボー)などがほとんど。

それ以外で村の美しさで取り上げられるのは、ミディ・ピレネー地方くらいでしょう。実はロワールの美しい村はもっと特集されてもよいと思うのです。都市からほど近くに村が点在しており、村そのものが美しいのはもちろんのこと、この地方の特徴は、たくさんのロワールの支流がそこここに流れていることです。

シェール川、ル・ロワール川、アンドル川、ヴィエンヌ川など多数のロワール支流があり、それらの支流沿いに美しい村が点在しています。川とセットになった村の美しさは格別ですが、なかなか紹介されません。


(プロヴァンス地方のゴルド村)


(シェール川に架かるシュノンソー城)

その最大の理由は、ロワールのイメージと時間的な拘束です。ロワールといえば、ご飯を食べるより先にロワール古城!というのが定石でしょう。

シュノンソー城とシャンボール城の2大古城は外せません(この2つ結構離れているので、往復するだけで3時間はかかります。)

これに加えてフランソワ一世とダヴィンチゆかりのアンボワーズ城、クロリュセの館、装飾庭園が見事なヴィランドリー城、眠れる森の美女の舞台となったと言われるユッセ城、フランス王も多く滞在したブロワ城、湖畔に浮かぶ美しのアゼー・ル・リドー城、ジャンヌ・ダルクとシャルル王太子が対峙したシノン城、堅牢な城壁を残す城塞都市ロッシュ、有名どころを挙げるだけで、こんなにもあります。

さすがにこれら全部をみるような観光客はよっぽどのこだわりだと思いますが、一般的にロワールの滞在は2泊が限度、3泊するパターンはあまり見たことがありません。着いて1泊、シュノンソー+シャンボール+アルファで1泊。通常はこれで終わり。仮に3泊となると、大抵これにトゥールの観光が入るくらいです。

そうなるとゆっくり腰を落ち着けてロワールの村巡りなんて、できっこないのです。そんな背景もあり、ロワールの村の紹介はまだまだメジャーにはなっていません。正直、お城めぐりは需要が大きいですし、ロワールといえば古城巡りは外せないので、もちろん行くなというわけではありませんが、もしもロワールの村をしっかり見ると言うのであれば、村巡りだけで2日くらいは欲しいのが正直なところです。

ですが、美しい村はとても多いのも、これまた事実です。フランスの美しい村協会の地図を広げてみてください。ロワール地方の美しい村は河畔沿いにいくつも点在しており、その数も北部にしては比較的多いことに気がつきます。

私が一番好きなロワール地方の美しい村はラヴァルダンです。この村に関しては別コラムで詳細があるので、ここでは割愛します。(詳細は、ラヴァルダンの記事をご参照ください。)

もう一つ、この村は時間を取って、もう一度ゆっくり訪ねてみたいという村があります。それが、サン・テニャン(Saint Aignan)の村。シェール川沿いに町が広がり、高台にお城がそびえるといういかにもロワール地方らしい村です。

スレートの屋根瓦にオレンジ色の煙突が立ち並び、川の対岸から眺めるととても絵になる村です。村の高台にあるお城はルネッサンス様式の美しいお城。高台に位置しているので、このお城から眺めるサン・テニャン村とシェール川の景色も美しいのです。

そして、村の中にあるサン・テニャン教会がこれまたすごいのです。しっとりとしたロマネスク様式の教会が残っており、かなりうす暗くなったクリプト(地下祭室)には、ラヴァルダンのサン・ジュネ教会を連想させるようなキリストと4福音書記者などのフレスコ画が残っているのです。ここをゆっくり見学できなかったことを、今でも後悔しています。


(サン・テニャン村)


(モントレゾール村)

このあたりの他の美しい村ですと、お城めぐり中に、組み込まれることもあるカンド・サン・マルタンがあります。

トゥールで活躍したサン・マルタンを祭るこの村は調度ヴィエンヌ川がロワール河に合流する地点にあり、高台から眺めると雄大なロワール河が眺められる村。

簡単なロワール河クルーズを楽しむこともできます。やはり川から眺める村の風景はすばらしいですね。ただ、個人的にはこの村はあまり好きではないんですが・・・。

むしろモントレゾールの方がキレいかもしれません。アンドロワ川の右岸に広がるこの村は、村の姿がうまく水面に映ります。村の中では木造の古い市場跡やポーランド人伯爵のお屋敷が残っており、河畔沿いの散歩道の雰囲気がなかなか良いです。

行政区分的に、ロワールからは外れるのですが、その美しさではトップクラスに並ぶのが、アングル・シュル・ラングラン村。

その名の通り、アングラン川沿いの村です。隣接したポワトゥー・シャラント地方との境界にある村で、ここにも壮大なつくりを誇る城塞が残っています。

険しい岩盤の上に立つのは、まさに廃墟。かつての城館の屋根は落ち、城壁は崩れ、高い見張り塔は外枠を残すのみですが、堂々とした風格は少しも損なわれていません。

城を中心に広がる集落をアングラン川が2分していますが、どちらも木々の緑があふれ、その間を縫う小道や石畳には、レンガ色の切り妻屋根にクリーム色の石壁の古い家々がならんでいます。ツタの絡まる家も多く、風景を占める色は圧倒的に緑が多い村。


(アングル・シュル・ラングラン)

崖を下り、川辺まで行くと水車があり、見上げると切り立つ崖と城塞が一体となって村を圧しています。この村には、中世を演出する全ての要素があり、廃墟となった城塞だけが取り残されているわけではない美しい村です。


(ソーミュールの町)

通常であれば、これでお終いなのですが、個人的な思い出を込めてもう一つの町を最後に書きとめておきます。

ここはフランスの美しい村には登録されておりませんし、村というよりも小規模の町という雰囲気がしますが、その町はソーミュールです。ワインをたしなんでいる方であれば、名前を聞いたことがあるかもしれません。

一応、町にはお城が残ってはおりますが、観光というよりはワインのほうで知られている町だといえるでしょう。

正直、町の散策をしている時には、取り立てて何か素晴らしいものがあるという感じはうけなかったのですが、夕刻と朝、ロワール河の対岸から見た景色は、今まで見た河畔の景色でも、もっとも「印象的」でした。

そう「印象的」という言葉がぴったりでした。暮れなずむ夕焼けに川沿いの家々が照らされ、その景色がロワール河に投影される。とても美しい景色をみることができました。今回、このタイトルで記事を書こうと思ったのは、ふと、このソーミュールの風景が頭に浮かんだからなのです。




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