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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第38回:バスクのポテンシャル part1

サイトの趣旨とは少々ずれますが歴史的・文化的な関りでスペインバスクを含めての記載をしていきます。先日、5年ぶりにバスクを訪ねました。

日本でも多少取り上げられることがあり、私も興味のある場所だったのですが、やはり遠い・・・航空機でも訪ねにくい場所ですので、なかなか訪れる機会に恵まれませんでしたが、今回久々に訪ねて、その土地の魅力を再認識したところです。

まず感じたのは、この地方の将来性の明るさ。そして、日本ではまだまだ紹介しきれていない部分が非常に多いということです。今回はスペインバスクの諸都市に滞在し、うち何日かは国境を越えてフランスバスクを訪ねて参りました。

ちなみに5年前はフランスバスクを拠点にスペインバスクを訪ねました。時間そのものは短かったものの、スペインではビルバオやサンセバスチャン、フランスではバイヨンヌ、ビアリッツ、サン・ジャン・ド・リュズなど主だった場所にはだいたい足を伸ばしました。


(バスク風の家がならぶアイノアの村)

この地域はすごい、うまくやれば第2のコートダジュールになり得る地方だというのが一言でまとめた感想です。


(バスク十字がプリントされたバスク帽)

まずは「バスク」という独自の文化が興味をそそります。「バスク」、その言葉だけで、ちょっとフランスでもスペインでもない、独自の地域を見てみたいという気分になります。

その最たるものが今でも生きるバスク語といえるでしょう。ヨーロッパの大半の言語の母体となっているインド・ヨーロッパ言語とも違う形態の言語が今に生きている。

これだけでも、その土地に生きる人々に脈々と流れるバスクの血が独自の文化を作り上げているのかも・・・と興味がわきます。

フランス側のバスク、またスペイン側のバスクの自治体、その歴史など細かい部分は、私もまだまだこれから調べていかなければならない部分が多くございます。しかし、バスクは五感で楽しむことができる地域だと思うのです。

@自然景観

まずバスクには自然があります。海があります。フランスのサン・ジャン・ド・リュズやビアリッツ、スペインのサン・セバスチャンやサラウス、ゲタリア、このあたりの海はとてもキレイでビーチも整備されています。

比較対照としてコートダジュールを挙げたいと思います。ご存知の方も多いかもしれませんがニースのビーチは小石のビーチ。ビーチに寝転がって、のんびりするというイメージとはちょっと違うのです。

この地域で砂浜のビーチはヴィルフランシュ・シュル・メールが有名ですが、もしニースのビーチが砂浜だったら、もっと快適だろうなと思ってしまいました。この意味ではバスクに分があると言ってもいいでしょう。


(サン・セバスチャンのコンチャ湾)


(サ―ル近郊の田舎風景)

そして、山があります。海沿いが取り上げられることが多いのですが、フランスの美しい村に登録されるサールからでている登山列車リューヌ線、アイノア近郊の山間田舎風景、そしてサン・ジャン・ピエ・ド・ポーなどの険しいピレネーの景勝がバスクにはあります。

歴史的、文化的にもここはサンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路が通っているので、オロロン・サント・マリーやサン・ジャン・ピエ・ド・ポーはそういった意味でも、とても興味深い訪問地となります。

かたやコートダジュールにもニースからタンドへの国鉄、またプロヴァンス鉄道などの景勝列車があり、山間部には美しい村が点在しています。町そのものがもつ観光客誘致の集客力でいえば、バスクのほうが強いのでしょう。

ただし、難点は公共交通機関が少なすぎること。ニースからは小さな村へも列車やバスで訪ねることができるところが多いので、そういった意味ではコートダジュールに分があると言えます。とにかく、バスクには自然の魅力が多くあると言うことができます。

A滞在とラグジュアリーホテル

やはり、観光客が滞在するとなった場合、ホテルは重要な要素となります。第一にバスクはまだこの点ではコートダジュールにかないません。

モナコ、ニースを中心に高級ホテルの数でいえば、バスクはまだまだです。しかし、今回宿泊したオンダリビアの城塞を改装したパラドール、そしてサン・セバスチャンの名門ホテル「マリア・クリスティーナ」は十分対抗できるレベルであるといえます。

フランス側ではビアリッツの「オテル・デュ・パレ」は、モナコの高級ホテルに匹敵するでしょう。こういったホテルは観光客が増えればもっと出来上がると思いますが、きっと将来はそうなっていくと思います。

この地域はまだまだ発展の可能性が満ち溢れています。観光客誘致のための武器や素材は十分に揃っていると思うのです。


(ホテル・マリア・クリスティーナ)

B観光と交通

これが、バスクは弱いと強く感じました。公共バス、列車はもちろん通っているのですが、それを使った一大観光地域、つまり「コート・ダジュール」のような雰囲気がこの地域にはないのです。その一つの大きな要因は、「バスク」という地域が完全にフランスとスペインに分断されていることです。

やはりスペイン側からフランス側へ、またその逆を公共交通機関で行くことは様々な障害があるのでしょう。これがクリアになれば、もっとサンセバスチャンやバイヨンヌの滞在都市としての魅力が大きくなっていくと思うのですが、今後の課題の一つかもしれません。

この問題、実はコートダジュールにもないわけではありません。コートダジュールはフランス側だけで、十分の観光要素が揃っているので楽しめるのですが、近くにはイタリアのヴェンティミリア(ここはフランス国鉄が乗り入れているので比較的行きやすい)、その向こうにあるサン・レモ、そして山間にある美しい村ドルチェアクアやアプリカーレなど是非とも行ってみたいと思うところが多いのですが、やはりニースから行くのはなかなかしんどいのです。バスクも同様です。


(ビルバオ/グッゲンハイム美術館)

そして、まだまだ観光的な要素が少ないという印象が否めません。ニースに行けば、あそこに行きたい、ここに行きたい、そういったものがたくさんでてきます。

そこが「中世の町」というだけで、一大観光地になっている場所も少なくありません(エズ村など)。バスクにはこれがあまりにないのです。

小さく可愛らしい村もたくさんあるでしょう。ただし、そこまで行く方法がないのです。これはプロモーションを含めて、今後の課題と言えるでしょう。

その中でヒントとなるのが、スペインバスクの中心都市ビルバオのグッゲンハイム美術館です。アメリカのグッゲンハイム美術館の分館としてオープンしたこの美術館は、すでにビルバオ観光の中心となっています。

このような形でもよいので、何か目玉となる観光箇所を作ることは今後バスクに求められていくかもしれません。また、サンセバスチャンのサン・テルモ美術館を訪ねましたが、バスクの歴史、文化的な展示が多く興味深いものでした。エル・グレコやルーベンスという著名画家の絵画も何点か所蔵しています。こういったものはより大々的にプロモーションをしていけば、きっともっと観光客がバスクに行くようになるのではないかと思います。

続く



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