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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第39回:バスクのポテンシャル part2

C名産品でのプロモーション
ここをバスクはもっと押し出していくべきなんじゃないかと感じました。土地の名産物というのは観光客にとっても興味がある部分。この部分、バスクはものすごく強いと思うのです。しかも、無理やり名産品にしているような感じではなく、世界に誇れるような名産品がたくさんあります。

まず、フランス・バスクの中心地バイヨンヌは、16世紀末に新大陸やアフリカとの貿易が盛んとなったスペインを経由してフランスに初めてカカオが伝えられた町です。つまり「フランスのチョコレート発祥の地」と言えます。

この冠を持っているわりに、この町のショコラティエは知られてなさすぎるのです。大聖堂を眺めるポール・ヌフ通りには1854年創業の老舗ショコラティエ「Cazenave」があります。名物の泡立てたショコラ・ショー「Chocolat Mousseux」は見た目にもインパクトがあり、名産のチョコレートを使った逸品。

また、パリのピエール・エルメやフォーションで修業をしたショコラティエが作る新星ショコラティエ「リオネル・ロー」のお店など、多くのショコラティエがあります。

また名産のトウガラシで味付けされたジャンボン・ド・バイヨンヌ、つまりバイヨンヌ・ハムも現地では名高い。イタリアのパルマ、フランスのバイヨンヌ、スペインはイベリコ豚と言っても遜色ない知名度と質を誇るのですが、これがどうしたわけか、パルマ・ハムはあんなに日本で知られているのに、なぜバイヨンヌは日本ではこれほど知名度がないのでしょう??

もう不思議で仕方がありません。単に知られていないだけ、これを知らせていかなければいけない!と思ったものです。


(バイヨンヌのポール・ヌフ通り)

バイヨンヌは歴史的にもフランスバスク(特に、フランスバスクのラプルディ地域)の中心地であり、今でもその地位は揺らいではいませんが、最も発展しそうな地域はやはり沿岸部。リゾートとしての素質を持つビアリッツと観光要素をしっかり持っているサン・ジャン・ド・リュズはものすごい可能性を持っています 。

ビアリッツはその位置的なものと、ナポレオン3世妃ウージェニーが滞在したことから続く大西洋岸のリゾート地としてプロモーションをしていくでしょう。リゾートホテル、海水浴、カジノ、これにショッピングが加わるのでしょうが、何か一つ観光名所が欲しい。これはビルバオのグッゲンハイム美術館や、北フランスのロンスが行ったような有名美術館の別館をオープンさせたり、土地にゆかりのある美術館・博物館を作ると言うのが一つの方法ですが、そんなに簡単にはいかないでしょう。


(サン・ジャン・ド・リュズの
      サン・ジャン・バプティスト教会)

そう言った意味で、ビアリッツよりも凄まじいポテンシャルを持っているのがサン・ジャン・ド・リュズ。この町、美しいビーチを持っていますが、それだけではありません。

フランスとスペインの国境近くにある港町サン・ジャン・ド・リュズ。小さな港町ですが、過去にはフランス王ルイ14世とスペイン王女マリー・テレーズが結婚式を挙げた町として知られています。

その結婚式が行われたサン・ジャン・バプティスト教会は、バスク風の内部バルコニーが美しく、すばらしいバロックの祭壇がある見ごたえのある教会です。

お祈りの際には女性が下、男性はバルコニーに上がってお祈りをするというバスクの習慣から、このような作りになっているそうですが、バスク文化に触れられる訪問地といえるでしょう。

そして、ルイ14世の結婚式が行われた1660年創業の老舗マカロン屋が旧市街にあるメゾン・アダム。結婚式の際にルイ14世に贈呈されたままのレシピで作られたマカロンが売られています。

フランスのマカロンと聞くと、真ん中にクリームが入っていて、上と下をふんわりした生地で挟んだものを想像しますが、伝統的なマカロンは生地にアーモンドのペーストをつけてしっとりと焼き上げたもの。もっちりした食感で素朴な味わい。

また、このメゾン・アダムには、マカロンだけではなく、チョコレートやバスク名産のエスプレット唐辛子、ガトー・バスク、バスク産の塩、ピーマン、バイヨンヌ・ハム、など様々な名産品が売られています。

旧市街を歩けば、バスク織りのお店やバスク十字がデザインされたかわいい雑貨屋さんが多くあり、とても楽しい街です。


(メゾン・アダムのマカロン)

その他、ルイ14世やマリー・テレーズが滞在したお屋敷が残っていたりと、フランス・バスクで私の最も気に入っている町です。

その他、フランスの美しい村に登録されているサ―ルは、ガトー・バスクで知られていますし、ガトー・バスクに使われるチェリーは、イッツァスー村のものが知られています。問題は交通手段。バイヨンヌやビアリッツなどの大きな町から近郊までの足がもっと便利になると、格段に観光客は増えると思うのですが、このあたりは再度調べてみる必要もありそうです。

D食事


(オンダリビアで食したタラの料理)

そして、バスクといって外せないのはバスク料理。そして世界中で最もミシュラン星付きレストランが密集している場所という点を忘れるわけにはいきません。

バスクと呼ばれる地域だけで、星付きレストランが19件。3つ星レストランもあります。そして、「こんな田舎に!!」という村にも2つ星レストランがあったりします。星の数だけではないのですが、それだけでこの地域の食事のレベルが相当に高いことは数字として理解できます。

しかし、食事は文化、そして「文化の根底は、その土地そのものに由来する」という当サイトの根本をブレずに見ていくと、バスクは確かに食材の宝庫でもあるので、レベルが高いのもうなづけます。

海があり、山があるので、食材は豊富なのは当然。新鮮な海の幸、山の幸が手に入るというわけです。

70年代のフランス料理(ヌーヴェル・キュイジーヌ)、80年代のイタリアン、90年代から続く日本食ブーム、そして今、この地域は特に注目を集めていると言えます。

パリなど大都市の3つ星レストランで修業をしたシェフたちが地元に戻り、互いにレシピを教えあって、まさに「切磋琢磨」でバスクの料理レベルがグングンと伸びていると言えるでしょう。

そして、その流れで星なんて付いていなくても美味しいレストランが多くあるわけです。スペイン・バスクにはもう一つの楽しみがあります。それがサン・セバスチャン。

この町は前述のミシュラン3つ星レストランがあり、バスク食文化の最先端を走っています。とにかく一泊してほしい街。旧市街のバル巡りはバスクの食の楽しみの一つと言えるでしょう。

サン・セバスチャンの旧市街には、数多くのバルが立ち並びます。バーカウンターには、ピンチョスと呼ばれる「おつまみ」がずらり。「あれと、これと・・・」とさらに乗っけて食べたり、注文したりして食べるのですが、そのレベルの高いこと高いこと。

素朴で地元の人たちが集まる伝統的バルから、モダンな料理の一皿をさらに一口サイズのピンチョスにして出すお店まで様々ですが、その食事はどれもこれもレベルが高い。


(サン・セバスチャンのバル)

バル巡りの基本は「はしご」ですから、一件で終わるのではなく、よさそうなもの、美味しそうなものを1・2品頼み、飲み物を一杯。終わったら次のバルへ出かけるというハシゴ・スタイルが地元流。これが、また楽しいこと楽しいこと。お洒落なレストランでゆっくり食事を楽しみのもいいですが、こんな食事の楽しみ方もあるのです。


(美食倶楽部でのヒトコマ)

そして、もう一つサン・セバスチャンの楽しみの一つは「美食倶楽部」。バスク地王伝統の会員制のクラブで、レストランでは「ない」のです。元々は男性同士の職場や趣味の集まりに、料理を持ち込んだのが始まりで、特にサン・セバスチャンには数が多いのです。

招待制なので、フラリと訪ねて食べるわけにはいかないのですが、観光局や旅行代理店を通じて予約をいれてもらうことは可能かもしれません。今回は、この美食倶楽部にもお邪魔して食事をしてきましたが、基本的には女性禁制の男性のみのクラブ。

今では女性も食事できるようになりましたが、厨房へは一切出入り禁止となる。場所によっては自分でできあがったものを運んだり、適当に飲み物を取って注いだりするのですが、昔ながらのバスク料理が食べられ、趣味の延長でこのような倶楽部があること自体、サン・セバスチャンの食事レベルの高さを感じられます。

スペイン・バスクに入ると飲み物としては発泡性の白ワイン「チャコリ」やりんごの発泡酒「シドラ」などを軽く一杯やりながら食事をするスタイルが増えます。爽やかな飲み口で軽くイケて、しかも安いので、どんどん進んでしまいがちです。

ちなみに、フランス側でもピペラードやアショアという玉ねぎやピーマンなどバスク食材を使う伝統料理が多くあり、双方の地域で、チーズは羊乳のチーズが多く生産されています。

一つの地域だけで、まとめてしまいましたので、膨大な料理なりましたが、とにかく帰国してすぐに筆をとりたいと思い、思いつくままにまとめてみました。一つ一つを吟味していけば、もっともっと奥深い部分がでてくるでしょう。今後、ますます注目されるであろうバスク。注目のデスティネーションです。今度は是非、個人でゆっくりと回りたいと思う地域でした。




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